歴史標本から読むMSTN / 第1回
セントサイモン St Simon
昔の馬の型が、今わかるということ
1881年生まれのセントサイモン(St Simon)に、TTというMSTNの検査値がある。昔の馬の話なのに「検査値」が出てくる。そのことが、まず面白いと思いました。
ST SIMON · 1881–1908
クラシックに出られなかった名馬
セントサイモンの競走生活には、少し意外な事情があります。登録した馬主が亡くなると出走登録が失効する当時の規則により、1884年の2000ギニーに出られませんでした。それでもアスコット・ゴールドカップでは20馬身差で勝利。大舞台への道が閉ざされても、強さを示した馬です。
種牡馬になると、英国・アイルランドのリーディングサイアーに9回。自身には叶わなかったクラシックの舞台で、産駒10頭が合わせて17勝を挙げました。パーシモン、ダイヤモンドジュビリー、ラフレッシュなどへ続く名前を知ると、血統表が少し物語らしく見えてきます。
血統表の名前に、もう一つ情報が増える
昔の馬について調べるとき、目を向けるのは血統や記録。そこへ遺伝子型まで加わるとは、ちょっと意外です。
St Simonの手がかりになったのは、残されていた歴史標本でした。公開データに収録されている型はTT。由来は「歴史標本・論文」で、その馬の標本から測定された値です。
血統表で遠い世代へたどる名前に、具体的な情報が一つ増える。ずっと昔の馬が、少し近く感じられます。
残っていたから、聞けたこと
本人が生きていた時代には聞けなかった問いにも、標本が残っていれば後から向き合える。St Simonの記事を書きたくなったのは、この時間差があるからです。
TTは、二つともTという組み合わせ。数字でも能力の点数でもなく、この馬が持っていた遺伝情報の一部分です。たった二文字ですが、1881年生まれの一頭についてそれを知れることには、独特の面白さがあります。
昔の馬を、今の血統画面で探す
次はSt Simonを起点に、登録されている親や子を眺めてみるのもよさそうです。名前だけを追っていたときとは違って、「この馬はTTだった」という小さな手がかりを持ってたどれます。
歴史標本のシリーズでは、こんなふうに昔の一頭を選び、残された情報から眺め直していきたいと思います。最初の一頭はSt Simon。次はどの馬が気になるでしょうか。
歴史標本から読むMSTN · 第1回 セントサイモン(St Simon)